佐々淳行が見た国益を損なう政治家たち 『私を通り過ぎた政治家たち』書評

佐々淳行 著『私を通り過ぎた政治家たち』を読みました。

いやー面白かった!

佐々淳行氏は、警察、防衛庁、内閣と、長く「官」「公」の仕事を務められた人物である。官職を辞められたあとも国家危機管理をライフワークにされた。
それゆえ、政治家と付き合う機会も多く、さまざまな政治家の裏の顔を見てこられた。
その彼が、実名でこの政治家は期待でき、この政治家はダメだ、と語られている。
それが大変面白いのである。

なかでも、国益を損なう政治家、これについては国民が広く知るべきだと思う。
佐々氏は、政治家は2種類に区別できると語る。
それは、「ステーツマン」「ポリティシャン」だ。
ステーツマンとは、政治家。権力に付随する責任を自覚している人。
逆に、ポリティシャンとは、政治屋。権力に付随する利益や享楽を追い求めてしまう人。

国益を損なう政治家とは、政治屋である「ポリティシャン」というわけだ。
では、それが誰なのかというのを教えてくれる。
おそらく本の中に出てくるポリティシャンだけではなく、もっともっとたくさんいたのだろう。
わたし的には、その人物に近しい人間たちは総じて危ないだろうとにらんでいる。
そこで本に出てきた政治家、いやいや政治屋を2人ピックアップしてみたい。

まず誰もが頭に浮かべるであろうこの方々、菅直人と村山富市。
著書でも彼らに触れていて、もちろんダメなのだが、これはもう歴史が証明しているので省きます。語りたくもないというのがわたしの本音だ。

で、ご紹介したいのはこの人。
民主党元議員の石井一。

まあ、民主党で”政治家”を探すのは難しいですが、誰がどれだけ悪いのかっていうのはやっぱり画面からだけでは見えてこない。
その点、佐々氏は実体験をもとに、こいつはとんでもねえと語られています。
石井一氏は、国を滅ぼす愛国心のない似非政治家とまでいわれている。
それはなぜかというと、佐々氏が警視庁警備局外事課長だったときのこと。当時自民党だった石井氏は訪朝団の一員として北朝鮮へ行った。そして帰国するやいなや、佐々氏にこう言った。
「平壌でよど号事件の犯人たちと会ってきた」
よど号事件とは、日本における最初のハイジャック事件。共産党主義者の赤軍派9名が北朝鮮へ亡命するためハイジャックをしたのだ。
そんな彼らに会った石井氏は、
「彼らは望郷の念に駆られておる。日本の警察が、もう彼らを逮捕しないと約束すれば、帰ってきてもいいと言っている」
もうこの発言だけでバカ丸出しですよね。だーれも彼らに帰ってきて欲しいなんて思ってねえよということです。
しかし、さらに石井氏は続けます。
「一生を棒に振らせるのはかわいそうじゃないか。君が『逮捕しない』と約束するなら、私が連れてかえってくる」と言ったのである。
佐々氏は当然唖然としてしまう。
「失礼ですけど、あなたは国会議員でしょう。それなのに国の治安機関が、国際指名手配を取り消せとおっしゃるのですか。外事課長の私が『逮捕しない』など約束することはできません。あなたがこの問題を片づけたいと思うなら、なぜ彼らに『私が付き添っていくから出頭しよう』と言わないんですか」
まったくもって当然すぎることを佐々氏は言う。しかし、石井氏がそれに激怒して、
「血も涙もない警察官僚め!」と罵った。
いやあ、バカである。おまえはどこの国の政治家なのだということである。
こういう感じのが民主党にはたくさんいますし、自民党にもたくさんいるのが頭痛い。

次に紹介する人は、たぶん佐々氏が一番嫌いだと思われる政治家。
元自民党幹事長、加藤紘一。

この人はもう菅直人並にボロが出まくってるので語ることもないかなと思ったのですが、佐々氏の身に起きた体験を知り、さらに腹が立ってしまった。
1960年、国会に突入した全学連の指導者であった加藤氏。一方、国会を警備する側にいた佐々氏。二人はその頃から古い因縁がある模様。
加藤氏は、大卒後外務省に入り、チャイナスクールの外交官になった。政界に入るやあれよあれよと親中派の議員になる。
チャイナスクールとは、外務省や政界における中国(あるいは北朝鮮)利権を握る派閥のこと。日本人なのに中国人の立場を代弁するような人間を指す。(※チャイナスクールの説明について引用)
現役にもチャイナスクールの政治家、官僚はたーくさんいます。アメリカでは、『パンダ・ハガー』と呼ばれる人たちも同じ。

話を戻すと、そんな日本のために働けない人が、初入閣で防衛庁長官になってしまった。中曽根内閣のときである。
どう考えても、不適任な人事だった。だって彼は、元全学連の活動家なのだ。
佐々氏は、なぜ彼が引き受けたのかも理解できなかった。おそらく大臣の肩書き欲しさのため、思想信条など忘れたのだろうと思う。
だがそれは、佐々氏を巻き込んだ皮肉な運命へもたらす序章となっていく。

加藤氏が防衛庁長官になり、陸上自衛隊の第一空挺団恒例の「降下初め」に列席した時のことだ。
彼らは、有事にあっては、命をかけて敵地に果敢に投下する最精鋭部隊である。その厳しい訓練を目の当たりにした加藤氏はこう感想を述べたのである。
「カルチャーショックだ。日本にもまだあんな野蛮なのがいたんですか」
これが防衛庁長官だ。世界よ、これが日本の防衛庁長官だ。
はい、バカである。

そんな加藤氏は、あらゆる派閥の会合にでるのが趣味だったらしい。とくに夜の宴会は、7つも8つもはしごする。
それも大臣公用車をこれみよがしに使っていた。
大臣公用車は、運転手、秘書官、副官、SPとみんな付き合わされる。
よって、運転手やSPは帰宅できなくなった。
さらに私用のゴルフにもSPを連れて回る始末。
内外から大ひんしゅくなのだが、彼に誰も言えない。こういうヤツに権力をもたせるとろくなことがないという一例といえよう。
で、誰かが言ってやらなきゃいけなくなり、その損な役回りをさせられたのが佐々氏だ。
「公務であれば秘書官やSPも、九州だろうが北海道だろうがお伴します。しかし、党務、閥務、ナイトクラブやゴルフ場のような私用には公用車は使わないでください。SPや秘書官は週に3、4回も車庫に泊まっている有り様です。彼らにも家族がいるんだから、思いやりを持っていただきたい」
至極ごもっともである。普通の人であれば、ああそうか、すまなかった、心改める、となりそうだが、加藤氏はそれに血相を変えた。
「あなたはSPを使って私の私的な行動を探ってるんですか! それともSPが言いつけたんですか?」
と詰問するのである。バカである。(あ、「バカである」は、わたしの感想です)
佐々氏は、丁寧に諭してあげます。
「これは指導者論として申し上げているんです。大臣が私的に使っていることはみんなが知っていて、みんなが困っています。SPが言いつけたのでは決してありません。彼らはいざというとき、体を張って大臣を守ってくれる役目なのですから、大事にしてやってください」
何度も言うが、普通の人なら、まあそうだな、すまなかった、心改める、となるところ、加藤氏はさすがである。
「彼らはそれで給料をもらっているのでしょう」と大声を上げるのだった。
もう言葉がない佐々氏。おそらく、あ、こいつは言ってもわからないマジもんのヤバイやつだぞと思ったにちがいない。わたしなら思う。
その加藤氏だがそれで終わらない。
SPの上司である警護課長から佐々氏に慌てて電話がかかってきた。
「うちのSPは何をしたのでしょう? 長官が更迭しろと言ってきているのですか……」
佐々氏は、悪いのは大臣だから代えなくていいとはっきり言う。ところが、ほどなくして、SPの彼は、なんと警察を辞めてしまったのである。
もうふざけるな!と言う場面である。
佐々氏は、加藤氏に「反省するのはあなただ」と諫言すると、
「私は辞めろと言った覚えはない」
と、いけしゃあしゃあと答えたのだった。

なんだこいつ。。彼と一緒に働かされていた人たちのことを想像すると、どんなに悔しい思いをしただろうと涙が出てくる。
そして加藤氏は、国にとって重要な防衛に関わることも朝日新聞にすぐリークするという大バカなのである。

もうね、まだまだあるのよ。この加藤ネタ。すごいんでぜひ読んでほしい。
とりわけ、好き嫌いで人を選ぶということに関してはもう性癖である。
日本を貶める情報があればすぐリークし、NHKでしゃべるのが大好きな人だったみたいだ。
そしてついに、佐々氏も狙われるのである。
防衛施設庁長官から、次は当然、防衛事務次官になると思われていた佐々氏だが、加藤長官が加わった人事で退官へ追いやられるのであった。
何でそうなったのかなと佐々氏が考察しているのですが、そのオチが見事で笑える。

加藤氏は、あきらかに国益を損ねた人物である。最近は、反安倍で共産党の機関紙の赤旗で活躍されているようだが、一刻も早く彼に近しい政治家が一掃されることを願う。
あ、もちろん河野洋平や小沢一郎のことも書かれている。

この本は、期待できる政治家についても語られている。
失望ばかりではない。
そして最近起きた日本人がテロに巻き込まれた事件についても予言というか、どのような対応を辿らざるをえないか、アルジェリア人質事件を例に危機管理の観点からわかりやすく書かれている。
また、マスコミが国民を巻き込みバカみたいに騒いだ特定秘密保護法をなぜ安倍さんは支持率を下げてでもしなくてはいけなかったのか、その裏側を知り、納得できた。そのからくりは、国益を損ねる政治家や官僚たちに通じていると思う。
なんか佐々氏の遺言ともとれる本なので、ぜひ選挙権ある人は読んでほしい。そして国民の権利として、ポリティシャンを排除していこうじゃありませんか。

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