映画 ドライヴ ネタバレありの感想

話題の「ドライヴ」を観てきました。
最近、ライアン・ゴズリングをよく見るなー。
色気のあるいい役者だ。
ブルーバレンタイン」も良かったし、
「スーパーチューズデー」も観た直後だっただけに、
役の印象がかぶらないかと心配していたが、まったく心配いらなかった。

この映画にどっぷり入り込んでしまった。
ハマった映画だ。もう一度観る予定。

この映画はものすごい不思議な魅力を持っている。
ド派手なカーチェイスの映画かとおもいきや、まったく違う。
もちろんそういうシーンもあるが、観るべきはそんなところではない。
とにかく男女の描写が独特で素晴らしい。
間のとり方、見つめ合う感覚、セリフをなくして役者の演技(表情)で見せていく。
男女の恋愛模様を見て、こんなにもドキドキしたのは久々だった。

また暴力シーンも徹底している。
多少の覚悟を持っていないとグロいと感じる人もいるだろう。
しかし、ライアン・ゴズリングの魅力がバンバン出ていて私は好きだった。
アスファルトに映る影の描写で、どちらが勝ったのか表現する辺りは、
北野武監督的に言わせると、因数分解の要領で撮っていて良いと思った。

さて、ここからネタバレありで感想を述べていく。

まずは冒頭、ドライバー(ライアン・ゴズリング)が、強盗の逃がし屋をするシーンから始まる。
ルールは至ってシンプル。
5分以内に戻ってくれば、彼が必ず逃がしてやるというもの。
ドライバーは・・・ってこの映画、主人公の名前さえ出てこない。
ドライバーとか、キッドとかそんな呼び方で主人公が呼ばれている。

天才的なドライビングテクニックを見せる、ドライバー。
かといって、ブンブンかっ飛ばすのではない。
ラジオのバスケ中継を聞きながら、警察の無線を傍受し、
的確な道を選び、ときにパトカーに追われれば、あっさりと撒き、
そして試合終了と同時のバスケ会場駐車場へ紛れ込み、任務を完了する。

ドライヴ

スコーピオンのジャケットを羽織り、彼は帰っていく。
孤独な夜の都市を空撮。ピンクネオンのような色のタイトルバックに、
どこか古臭いポップミュージックが流れ、
映画のつかみの10分を終える。

ドライバーの孤独、その魅力がよく出るように作られていてよい。

さて、物語はまだ始まっていない。
彼の孤独感、魅力が示されただけだ。

アパートに戻ったドライバー。
エレベーターで金髪の女アイリーン(キャリー・マリガン)と偶然乗り合わせる。
「何階?」とドライバーがぼそりと聞く。
「4階」とアイリーンは答える。
そしてエレベーター内に沈黙が流れる。
アイリーンは、ちらりとドライバーに振り返る。
ドライバーは優しいほほ笑みを見せ、アイリーンの警戒心を解く。
彼女が先に降りて、408号室へ消える。
一方、ドライバーの部屋はその隣の隣の405号室。
部屋に入っていくアイリーンの後ろ姿を彼はちらりと見つめる。
(この描写で、彼が一目惚れしたのだと分かる)

昼は、映画のカースタントマンをしているドライバー。
ボスに、少し危険なスタントを頼まれる。
「金は多く払うから」そんなことを言われてもたいして興味も見せず、
かといって「いいよ」とも言わず、ただ微笑を浮かべて彼はうなずき了承する。
ドライバーは寡黙で、優しく、恩義に忠実な真面目な男。
ゆえに、セリフは少なく、表情でYES、NOを表現する。
孤独で人を遠ざけるようなタイプでありながら、彼の微笑は人を惹きつける不思議なキャラクターに仕上がっている。

楊枝をくわえ、毎日スコーピオンのジャケットを羽織っているのが、彼のトレードマーク。
仕事帰りにスーパーに立ち寄ると、アイリーンを見つける。
しかし、彼女には子供がいる。中南米系の顔をした息子をみて、
ドライバーは後ずさるように、反対方向へ向かう。
店を出て、車で帰ろうとしていると、
煙の出たボンネットの前で、困り果てているアイリーンを見つける。
いったんは無視しかけるが、彼は静かにそちらへ歩みだす。
こうして静かに二人の愛の物語は始まっていく。

とにかくこの映画は二人の描写が丁寧というのか、男女の会話があまりにも少なく、
見つめ合う時間、”間”の感覚でどれだけ二人が近づいていくかを表現していく。
その様子を観ているこちらが自然とドキドキさせられ、胸が締め付けられるような感覚を味わえる。
たっぷりと間をもたせ、言葉はできるだけ排除し、優しい微笑むだけのドライバーに、
観客の女性はうっとりしてしまうのではないだろうか。
孤独でどこか危険な男の色気は、男の私でも魅力的に感じる。

ドライヴ

アイリーンの息子とドライバーのシーンも、会話は少ない。
しかし、息子は彼をじっと見つめているだけでニコニコし、彼の後をついてまわりなつく。
それを後ろでアイリーンも見つめ、嬉しそうにしている。
まるで父親のよう。

ドライバーはとってもシャイだが、アイリーンを夜のドライブに誘う。
アイリーンはYESともいわないが、二人はたっぷりと見つめ合う。
それがYESであると分かると、ドライバーはそこを後にする。
次のシーンでは、夜のドライブをして、アイリーンの方から彼の手を握る。
キスをするわけでもなく、セックスもない。
それなのにドキドキさせる。

この感じが長く続けばいいなと思っているところ、
アイリーンの夫が刑務所から帰ってくることを聞かされる。
それでも、ドライバーは黙ったまま車を走らせる。
彼は身を引くことを決めている。

隣で爆音を響かせ、アイリーンの夫のウェルカムパーティーが始まる。
夫のスタンダードは、「自分がしたことは恥だ」と妻に「もうしない」と誓う。
その頃、ドライバーは自室で寡黙に機械をいじっている。
部屋には物が少なく、画面は少し暗く微妙な赤い色がかかり、孤独感を際立たせる演出で対比させる。

ドライバーは部屋を出ると、廊下にアイリーンが一人佇んでいる。
「うるさいでしょ?」
「通報仕掛けた」
「してもいいわよ」
短い会話を交わし、またじっと二人は見つめ合う。
すると、ドアが開き、スタンダードが現れる。
「君か。いない間に親切にしてくれたみたいで。ありがとう」
そんな挨拶を交わす。
だが、ドライバーはなにも話さない。ただ微笑んでいる。
それが逆にとても危険な感じをさせる。そしてスタンダードは察しがついたかのように、
「妻と話せよ」と行ってしまう。
しかしドライバーは、アイリーンにただ微笑み、一人ドライブへ向かう。

立ち寄ったバーで、ドライバーは酔っ払いに絡まれる。
しかし独特のすごみを見せて、相手は退散していく。
ここらへんから、バイオレンスの匂いを醸しだす。

ドライブから戻ると、アパートの駐車場で、ボコボコにされているスタンダードを見つける。
その傍らで震える息子。彼は、銃弾を握らされている。

ドライバーはスタンダードに何があったのかを問い詰める。
すると、服役中の用心棒代として多額の借金を負っており、その返済のために質店で強盗を無理やりしなくていけないと話す。
このままでは家族にまで危害が及ぶと困り果てている。

ドライバーは、その逃がし屋を買ってでてしまう。
その決断に、あまり葛藤はなかったようだ。
アイリーンと息子を守りたい、彼の献身の愛が、
この後の人生を狂わすものになっていく。

犯行当日。
スタンダードと雇われた女が質屋から金を奪いに行く。
車の中で時計を見つめ、彼らを待つドライバー。
5分以内に戻ってくるのがルール。
女は戻ってきたが、まだスタンダードが現れない。
時間ギリギリで店を出てくると、バンッと銃声。
スタンダードが撃たれてしまう。
助けようと車を出ようとすると、もう一発。
スタンダードは死ぬ。
ドライバーはその場から逃走を図ると、後続から黒塗りの車が彼を追いかける。
互角のカーチェイスを見せるが、ドライバーは振り切り、黒塗りの車は横転する。

なんとか助かったと思ったのだが、
その大金は、マフィアの資金だと分かる。
それを横取りしようとした黒幕がいて、
スタンダードとドライバーははめられたのだと分かる。
モーテルに逃れていた二人だったが、黒幕の手下に発砲を受ける。
女は死ぬが、ドライバーは狂ったように手下を捕まえると、殴り殺してしまう。
(ただ、なんでこんなに強いのかはよくわからない)

ドライヴ

ドライバーは、自分が働いているボスのところへ行き、厄介なことに巻き込まれたと話す。
ボスは飽きられるように彼に言う。
「男の妻と浮気する奴はくさるほどいるが、
その夫の借金を返すために協力する男は珍しい」
このセリフは、ドライバーの人柄が表れている。
愛する人を守るためなら、その愛する人さえ助ける。
これがこの作品の魅力。

ここからは、アイリーンと息子が危険な目に合わないように、
ドライバーは黒幕を追いつめ、過激で残忍な暴力を繰り返し、
彼ら母子の不安を排除するために悪を追い込んでいく。

だが、相手はマフィア。
報復の仕合で、キリが無い。
ドライバーはある望みを持って、アイリーンに会いに行く。

夫が殺されたことで、アイリーンは気が沈んでいる。
もちろんどういう事情で殺されたのかはよくわかってない。
そこでドライバーはアイリーンに話をする。
「家族を守ろうとして、裏目ってしまった。金はある、望みならやる」
そう彼が話すと、悲しい涙を流しながらアイリーンは彼をビンタする。
ドライバーは初めて自分の気持ちを吐露するように、
「一緒に別の地へ行かないか」と誘う。
だが、タイミングが悪くエレベーターのドアが開く。
戸惑うアイリーンはエレベーターに乗り込んでしまう。
続いて、ドライバーも乗る。

しかし、乗り合わせた人物のスーツの中に銃があることに気づく、ドライバー。
ここから名シーンが生まれる。
少し離れるように後ろに立っていたアイリーンを後ろ手でそっと自分の方へと引き寄せる。
どうしたの、と複雑な顔をするアイリーンに、
ドライバーは強引にキスをする。
その演出は程よいスローモーションで見せ、二人は始めて結ばれる。
そしてキスを終えると同時に襲いかかる手下をドライバーはボコボコにし、
アイリーンに危害を与えないように狂ったように手下の頭を踏みつけ、顔を潰して殺す。
エレベーターが着くと、アイリーンは恐怖と複雑な表情でドライバーを見つめ、後ずさっていく。
その表情に気づいたドライバーはなんとも言えない寂しげな表情を浮かべ、
二人は見つめ合ったままエレベーターのドアは閉まる。

切ない。
守るために、残忍ならざる得ない。
献身的で不器用な愛は、彼女に伝わるのか。
男の私はそこに興味がわく。

とにかくいろんなドキドキが止まらない独特な映画だった。
そして男として、私が常に心に刻んでいるテーマ”孤独”こそがやはり男の色気を出すのだな、と。
だがしかし、女にはそれが伝わらないところが男女の切なさを生む。
また観たくなる映画でオススメです。
サントラも欲しくなった。

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脚本の書き方
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