ALWAYS三丁目の夕日’64 ネタバレありの感想

感想、とにかくよかった!
古沢良太は、今、日本で一番うまい脚本家といっていいだろう。
シリーズの中で一番好きな「ALWAYS」でした。

ALWAYS三丁目の夕日'64

さて、ここからはネタバレありで感想を述べたい。

しかし語りたい場面が多いので、焦点を絞ろうと思う。
私は、茶川と淳之介について語りたい。
六ちゃんの話もよかったが、それは映画館で観てほしい。

時代は、昭和39年(1964年)。
オリンピック開催を控えた東京は、ビルや高速道路の建築ラッシュで活気づき、
街並みも鮮やかに色づき、人々の熱気に満ち溢れている。

そんな中、東京下町の夕日町三丁目には、
自動車の修理工として成長を続ける鈴木オートとその家族。
その向かいには、『冒険少年ブック』の看板作家、茶川(吉岡秀隆)とヒロミ(小雪)、淳之介(須賀健太)が暮らしている。

ヒロミは身重でもうすぐ家族が増える。
茶川商店の二階は増築され、高校生の淳之介は自室を持ち、東大へ向けて勉学に励んでいた。

その一方、茶川は相変わらず筆が進まない。
『冒険少年ブック』に新人作家が登場し、その作家に人気が奪われ、焦っていた。
さらに、ひねくれのネガティブな性格の茶川は、身重のヒロミの「ヒモ」状態であることを卑屈に感じ、
小説家であることを恨んでさえいるようだ。
どん底の気持ちの中、連載のため筆をとるのだが、夜になると鈴木オートの息子、一平がエレキギターを爆音で練習し、茶川は鈴木オート(堤真一)に怒鳴りこむ。「お前んちの不良なんとかしろよ!」
茶川と鈴木オートのけんかはお約束なのでおもしろい。

一平がバンドを結成し、ライブを開くのだがあまりの下手さに観客はいなくなる。
淳之介は、彼らを慰めるのだが、逆に彼らにこう言われる。
「淳之介は、小説を書くのやめてしまったのか? 才能があるのにもったいない!」
淳之介は、「育ててくれた二人に恩返しがしたいんだ」
だから東大を出て、いい会社に入って、安定した道を・・・。
彼はそう言うし思うのだが、本当は・・・というのが見て取れる。

その頃、茶川は連載打ち切りの危機に立たされていた。
ライバルの新人作家の人気に押され、編集者の富岡(大森南朋)から「もっと新しい雰囲気で」と
無茶な注文を浴びせられ、茶川はますますスランプに陥っていく。
そして彼が考えた秘策は、出版社に偽造のファンレターを送ることだった。
それに手伝わされる、ヒロミと淳之介。
だが、淳之介はかたくなにそれを拒み、自室へ戻ってしまう。

せっせと茶川がファンレターを捏造していると、
ヒロミがある電報を見つける。
「ねえ。これどういうこと?」
電報には、「チチ、キトク。スグ、カエレ」とあった。
だが茶川は背を向けて、「俺は勘当されたんだ。あの親父が俺に会いたいわけ(ムニャムニャ)」
ヒロミは茶川に涙を浮かべ訴える。「行ってあげて。後悔するよ」
彼女は親の死に目に会えなかったことを悔やんでいた。
茶川はヒロミに押されるようにして、実家へ帰る。

実家に戻った茶川だったが、父は持ち直していた。
親戚の叔母が、「あんたの息子、竜之介がきたよ」と声をかけるが、
父は「わしに息子はおらん」と一蹴する。
茶川もやっぱりそうかと言わんばかりに「わかりました。帰ります」と立ち上がる。
そして小説家になることを馬鹿にしていた父に「あんたがなれないと言ってた小説家に俺はなったよ」と怒鳴る。
しかし父も負けず「お前のは小説とは言わん!子供だましだ!」と怒鳴り返す。
「来るんじゃなかった!」と茶川は実家を後にする。

出版社には、大量の茶川宛ファンレターが届く。
しかし編集者の富岡はすぐに気づき、打ち切りを決める。
それを告げられて深刻に落ち込む茶川は、ヒロミの居酒屋へ訪れる。
ヒロミ「あらやだ。ボロ雑巾みたい。どうしたの?」
このセリフ素晴らしい!! ヒロミのキャラ、内助の功ぶりが出ている。
しかし淳之介はそれを聞いて青ざめる。
なぜなら、ペンネームで分からなかったが、茶川の憎き新人ライバル作家は、淳之介だったからだ。

茶川はやる気をなくす。
だが彼には希望がある。
それは淳之介だ。淳之介は自分とは違い、東大へ行き、いい会社に入って、安定した道を進んでくれる。
その学費を稼げればいい。
茶川は、淳之介の勉強の様子を覗くと、淳之介が何かを隠した。
さては勉強していないのか?
淳之介は抵抗したが、茶川は取り上げる。するとそれは、小説の原稿だった。
そこで、ライバル作家が淳之介だと分かる。
茶川は怒る。「お前は勉強するふりしてこんなもん書いてたのか!」
「返してください!」
「いいか。お前は東大へ行ける頭があるんだ。そうすれば、いい会社に入って、安定した収入が得られる。俺みたいに惨めな思いさせたくないんだよ」
「でも・・・」
「こんな不安定な生活をお前にはさせたくない。苦労してほしくないんだ。小説書くのは禁止だ!」
そう言って、茶川は原稿を破いてしまう。

淳之介は、たまらない気持ちで、アイデアノートも燃やす。
その姿をうつろな顔で見つめる、茶川。

ALWAYS三丁目の夕日'64

また電報が届く。
茶川はそれを見てぼそりと漏らす。「くたばりやがった」
葬式に向かう、茶川とヒロミ。
茶川は葬式でも父の悪態をついていると、叔母がやってくる。
「お父さんは、あなたの大ファンだったのよ」
「うそ、うそ」
「あなたが芥川賞にノミネートされたことがあったでしょ。そのときなんか、近所に小説を配って歩いたんだから。うちの息子は必ず取りますよって」
「そんなはずないだろ。俺が小説家になるって言ったら、勘当されたんだ。二度と敷居をまたぐなって」
「あれは、お芝居だったのよ」
「えっ」
「小説家は、背水の陣でのぞまなければならんって。だから、ああやってあなたを家から出したの」
「・・・」
「いつ家に戻ってきてもいいように、あなたの部屋は当時のままなのよ。お父さんは期待して待ってたのよ」

茶川は慌てて自分の部屋へ向かう。
すると当時と同じままだった。ただ違うのは、本棚に自分の本が全て並んでいたこと。
そして、本の間には、父が読んだ感想が添えられていた。
茶川は一冊一冊開き、丁寧に感想を書かれているのを見て、愕然とする。
『芥川賞確実!』『発想が面白い』『もう少し頑張れ!』などなど。
茶川は、本棚を狂ったように倒す。
「いつまでも道楽こいてるんじゃねーって言ってたじゃねーか! 勝手に死にやがって! 俺はどうすればいいんだよ!」
そして倒れた本の中から、自分の昔のネタ帳を見つける。
父は、自分を勘当したが、自分の大切なものまでは奪わなかった。(自分は、淳之介の大切なものを奪ってしまったと気づく)

私はこの場面で泣きました。少し自分とも重なってしまった。
しかも四方八方からすすり泣く声が聞こえて、こらえきれなかった。

帰りの列車で、茶川はヒロミにぼそりと言う。
「本当は小説家を何度もやめようと思った。そのたびに、親父の顔が浮かんで、なにくそって」
ヒロミ、優しい笑顔で頷く。

淳之介は、編集者の富岡に連載中止を申し出る。
その思いは固い。育ての親を裏切れない。彼はそう決めた。
そして吹っ切れたように「おじちゃん。僕は東大へ行きますよ」と猛勉強をする。
複雑な顔をする、茶川。

しかし連載の再開を頼みに来る、編集者の富岡。
茶川は、芝居を打つ。
「うちの淳之介はねー、東大に行くんですよ。小説家なんてさせませんよ。本人もそう言ってるんですから!」
淳之介がやってくる。
「なあ、お前、小説家なんかになりたくないよな! 東大いくんだろ?」
「・・・」
「はっきりしろ!」と怒気を強める、茶川。
「僕は・・・僕は、小説をやりたい!」と淳之介。
「なんだと! もういっぺん言ってみろ!」
「自分の気持はごまかせません! 恩知らずと言われようと、僕は小説を書きたい! なんでおじちゃんは、自分を惨めなんて言うんですか! 惨めなのに、どうして書き続けているんですか。好きなんでしょ?
そんなおじちゃんを尊敬してきました。なんで自分の気持ちをごまかすんですか!」
「・・・」
「僕から書くことを奪わないでください!」
茶川、淳之介をぶん殴る。芝居と知ってる富岡、唖然。
「分かったよ。お前はそういうヤツだったんだな!」と淳之介の部屋へ向かい、かばんの中に服や勉強道具を詰める。戻ってくると、玄関先へぶん投げた。
「出て行け! お前のような恩知らずは二度とここの敷居をまたぐな! 行け!」
淳之介、半べそで出て行く。
そして茶川は富岡を見つめ、富岡は頭を下げて淳之介を追う。

ヒロミは、すべてを知っているから泣いている。
茶川はがっくりと肩を落として、「本当に行っちゃった・・・」
ヒロミ、茶川を強く抱きしめる。
「淳之介は、大事なうちの長男だからな」

淳之介は、道中、鞄やペンケースの中を探り、あるものがないことに気づく。
一方、茶川も淳之介の机を眺めていると、あるものがあることに気づき、それを持って走りだす。
二人は、前作でも落ち合った場所で再会。
「忘れ物」と淳之介。
「これか」と万年筆を渡す。
「お前はこれからずっと小説を書いて生きていくんだろ。これは大事な道しるべだ」
そう言って、厳しい顔になる。「俺は全力でお前を叩きのめす」
茶川は、甘えたそうになった淳之介に背を向けて戻る。
淳之介は叫ぶ。
「分かってますから! おじちゃんのこと全部分かってますから。僕は、茶川竜之介の一番弟子です。今日までありがとうございました!」

茶川は角を曲がると、歯を食いしばって泣く。
「こっちこそだよ。お前が書かせてくれたんだ」

淳之介は、富岡が待つタクシーに乗り込む。
富岡「作家があの目をしたらこわい」
「おじちゃんは、必ずやりますよ」

ラストは、茶川がヒロミと生まれた娘と夕日を見つめながら、
「俺もこれで終わりじゃないさ」
と言って終わる。

次回は、芥川賞候補で二人は闘うのかな?
楽しみです。
本当にずっと見れる物語。
いい映画でした!

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