127時間 ネタバレありの感想

この作品は、
断崖に落ち、岩に腕を挟まれ動けなくなってしまった男が、
127時間、生きるために闘った実話を映画化したものです。

監督は、私の大好きな監督の一人、ダニー・ボイル。
『スラムドッグ$ミリオネア』『トレインスポッティング』『ザ・ビーチ』などを撮った方。
彼の作品は、暴力、クスリなどがよく出てくるのですが、
私が好きなのは恋愛描写がピュアなところが好きです。
今回もその点を踏まえて、描かれていました。
また、映画のバックミュージックが絶妙に良いのも彼の作品の評価が高い点です。

さて、冒頭。
主人公のアーロン・ラルストン(ジェームズ・フランコ)は、
金曜の夜、仕事を終えると大急ぎでブルー・ジョン・キャニオンへ向かう用意を始める。
忙しい喧騒の都会を一刻もはやく離れようと、
妹からたまには家族に連絡してという留守電を無視して、出発。
週末の登山やロッククライミングは彼にとって生きがいそのもの。
好きな音楽をかけて、一人旅最高!と興奮してアクセルを踏む。

その翌日、車の中で起きたアーロンは、ビッグドロップというところへ
通常4時間かかるところを45分で向かおうと、
マウンテンバイクにまたがり、ノリノリで岩場を走り抜ける。
途中、岩にぶつかり自転車から投げ出されてもお構いなし。
彼は自然の中で一人を満喫し、見たものをデジカメやビジオカメラで記録しながら行く。

自転車を降りて、跳ねるように渓谷の岩場を進んでいると、
道に迷っている女の子2人を見つける。
彼は意気揚々と彼女たちの前に現れ、道案内を買ってでる。
そしてアーロンは彼女たちに取っておきの遊び場を紹介すると
彼女たちは大喜びして意気投合。
アーロンは彼女たちにパーティーに招待され、そこで別れる。

一人になった彼は好きな音楽を聞きながら目的地へ向かう。
トントン跳ねるように進んでいたが、ある岩に足を乗せたとき、彼の運命は一変する。
岩が崩れ、狭い谷底に落ちてしまった。
さらに最悪なことに落石した岩が、彼の右腕を挟み身動きできなくなってしまう。
始めこそ、嘘だろ、と半笑いだったが、右腕はびくとも動かない。
大声で助けを求めるが誰にも届かない。
先程まで楽しく遊んでいた女の子の名前を呼んでもダメ。
さて、彼はこれからどうするのか……?

ここまでがちょうど第一幕だと思われます。
しかし、これからどうするの?という不安に似た疑問がよぎる。
一つは、アーロンに対して。もう一つは、映画的に持つのかという心配。
だって、岩に挟まれて動けない男の127時間がこれから始まるのだ。
映像として動きがないのは、目に見えている。
しかも127時間後にアーロンは助かることも分かっている。
監督は、これをどのように表現するのか?
ダニー・ボイルはどんな見せ方を我々にしてくれるのだろうか?

アーロンは挟まれた右腕を見つめながら、自分に語りかける。
「冷静に考えろ。冷静に考えろ」
そして万能ナイフを取り出し、岩を削ろうとする。
当然、途方もないことなのだが、彼はとりあえず必死になって削る。
しかし、利き手じゃないせいか、そのナイフを落としてしまう。
観客は思わず、ああ、と情けない声を漏らす。

だが次のシーンで、アーロンは万能ナイフのフックのところにひもを結んでいる。
次は落とさないようにと知恵を出したのだ。
そこで彼は、冷静なのだと判断できる。
そして彼は夜まで削るのだが、さすがに疲れてしまう。
彼はロープを体に巻き付け、岩にロープをフックし、少し休もうとする。
だが寒くて、起きてしまう。それを繰り返しながら、朝を迎える。

アーロンは、ビデオカメラで自分の記録を取る。
両親に向けて話し、現在残ってる食料、水、かなりヤバイですという状況を記録して終える。
そして自分に、「取り乱すな」と言い聞かせて、
挟まれた右手を外そうと知恵を振り絞り色々とトライする。

だが、削れば削るほど岩は彼の腕にのしかかる。
右腕も血が通ってないため変色しだす。
彼の中で、徐々に恐怖が勝る。
食料も尽きて、水もあと150ミリリットルしかない。
おまけに、持ってきたはずのゲータレードは車においてきたことを思い出し、絶望的になる。
アーロンは、腕をロープで縛り上げる。
そして万能ナイフで、右腕を切りつけようとするが、歯はボロボロで切れない。
彼は泣き笑いの顔で、ビデオカメラに向かって言う。
「中国製のナイフは買うな!」

夜になると心細くなり、アーロンは自分の過去や家族、元恋人のことを思いだす。
出発する前に、妹の電話を出て、ここに行くと話していれば……。
今まで自分勝手に生きて、両親に何もしていない後悔。
元恋人は自分を好きでいてくれて、自分もあんなに好きだったのに、
自分のわがままを優先させて別れてしまった。
彼は眠気と体の変調で朦朧としながら、自分の生き方を反省する。
そして罰が当たったのか、残り少ない水の入ったボトルを倒してしまう。

翌朝、幻覚に近い夢から目を覚ますと、
アーロンは異常なハイテンションでビデオカメラに話す。
「かーちゃん、まじヤバイよ! いつも電話に出なくてごめん。これは自分がまいた種。
マジでOopsだぜ! かーちゃん、とーちゃん、ありがとう!」
ついに水がなくなる。
喉が乾く。心臓の鼓動もおかしい。
アーロンは右腕に万能ナイフを突き刺した。
すると赤い血が流れる。
彼は貪るように自分の血液を吸い込む。
小便も飲んだ。

アーロンは朦朧としながらかろうじて生きている。
岩を削る元気ももうない。
ビデオカメラの記録を見返すと、渓谷で出会った女の子たちがメッセージを寄せていた。
彼女たちは水着で、胸の谷間を見せる。
アーロンはそこでビデオを止めて、股間に手を伸ばす。
性欲で現実逃避を試みようとするが、なんとか理性を保ちやめる。
そして彼は、幻聴と幻覚と闘い始める。

すると、元恋人との別れのシーンが目の前に蘇る。
「そのままだとあなたは孤独になるわよ」
そうかこのことを恋人は心配してくれていたんだ。
今までの人生は繋がっている。全て自分のせい。自分の行いがすべてここへ繋がっている。
それを受け入れると、幻覚で、家族や友人たちがアーロンを見つめる。
そして彼は落ちてしまう。

夢の中で、ある男の子が歌っている。
「立ち上がれば、やり直せる。諦めるな」

アーロンはかろうじて目を覚ますと、骨の位置を確認して、くるっと向きを変えた。
右腕に自分の体重がのしかかる。ボキッ!
彼は自ら骨を折った。またボキッ!と2回折った。
さらに切れないナイフで、ゴリゴリゴリゴリ動かして、時にはペンチも使って、
右腕を自分から切り離す。
尋常ではない痛み。ありえない量の出血。
気を失うな、と言い聞かせて、彼は右腕をついに切断する。

岩から腕が離れると、彼はそこを立ち去ろうとして、振り返る。
そして挟まれた腕と岩をカメラにおさめた。
「ありがとう」と言葉を残して。

生きて戻ったアーロンは、元恋人と結婚をした。
そして彼は登山や冒険を続けている。
もちろん、行き先は必ずメモして。
というハッピーなエンディングで終わる。

1時間前の不安はなんのその。
ダニー・ボイル監督はやっぱりうまかった。
ジェームズ・フランコの演技も良い。
この映画で言いたかったことは、
彼にとって過酷な127時間だったが、自分を見つめ直すために与えてくれた貴重な時間。
だから、自分を苦しめた岩に最後「ありがとう」と言って立ち去った。
観客をうならせたのは、この映画のテーマでもある、
何が必要で、誰が大切で、自分はどうしたいのか。
そして、一生懸命生きて大切な人たちに感謝を伝えないといけない。
きちんと考えて、時間を貴重に使えというメッセージなのだろう。
もちろん好きな人には、素直に正直にというピュアさも忘れずに。

個人的にとっても好きな映画。
かなり映像はショッキングだが、観ることをおすすめします。

Pocket

脚本の書き方
かわいい!コス