大局観-書評、そしてリーダー像

大局観 自分と闘って負けない心/羽生 善治を読みました。

私は将棋をやったこともなければ、正直言ってルールも知らない。
だけど、羽生さんは知ってる。
そんな人でも興味深く読める本です。

羽生さんは、私の地元の鳩森神社で挙式され、
寝癖をつけて将棋会館に向かう姿を何度かお見かけしてるので、
勝手に親近感を持っています。
ですが、声をかけられるような親しみのオーラは身にまとってはいない。
素朴な外見とは似つかわしくない金色と銀色のオーラを放つ。
やはりなにか超越している人物だと感じさせ、こちらをワクワクさせる。

そんな羽生さんが、どのように決断を下して勝負をしているのだろうか?
一つは「直感」。
そして「読み」。
もう一つが「大局観」だと語る。

大局観とは何か?
どんなに多くの時間と労力を使って努力をしても、
どんなに立派な理論や作戦を構築しても、
自分自身が選択し、決断したことには、責任を取らなければならない。
また、現状と現実を、
ひいき目で見るのではなく、
あくまでも客観的に、中立的に、冷静に、シビアに、
直視する必要がある。

少し分かりづらいか。
平たくいえば、木を見るのではなく、森を見る、と言ったところなんだろうけど、
羽生さんの大局観はそんな程度ではない。
もっと厳しい見方だ。
自分をそこに置きながら、相手を考え、状況を考え、先を考え、
責任が取れる決断を下す。

さらに将棋の世界は、リスクをとらなければ棋士の成長は止まってしまうという。
そりゃ手も震えるのである。

失敗を恐れて、何もしない人が多くいる中、
挑戦する勇気は、いつまでも持っていたいと思う、と語る羽生さん。

そして正面から挑戦する際に何が一番大切なのかといえば、
哲学者サルトルの言葉を借りながら、
「他者から見られることは、ものに変化してしまうことだ」
物にならないためには、投企として、そのまなざしを向け返すのだという。
投企とは、
「自己の存在の可能性を未来に向かって投げ企てること」

投企=挑戦、といえる。

羽生さんが、推奨する集中力を高める三つのトレーニング法

1.何も考えない時間を持つこと
2.一つのことをじっくり考えることに慣れること
3.時間と手間のかかることに取り組むこと

どれも簡単そうで難しい。
以前、私も決断が揺らぎやすいので、瞑想を試みたことがある。
そのときに、瞑想の仕方を教わったのだが、
目を閉じて、何も考えないでください、と言われる。
これが難しい。何も考えないことを考えないようにすることが難しいのだ。
しかし、根気よく続けると、目の前に白い点のような光が見える。
それを見つめ、宇宙を感じ始めると、瞑想の世界に入るらしいが、
その白い光が見えた瞬間に、私の心は乱れる。
「光が見えた。よし! 瞑想に入るぞ」と思ったときには、
もう瞑想の世界には入れない。雑念が頭をよぎっている。興奮もしている。
また初めからやり直し。
こんなことしてるうちに、私はとうとう諦めてしまった。
しかし、羽生さんのように突き抜けてる人は、
その空白の時間を作ることが上手いと思う。

羽生さん流、運、ツキの付き合い方

一つは、ツイてる時はできるだけそのツキを維持し、継続させること。
もう一つは、ツイている人物や組織のやり方を真似すること。
ただし、ツイてない人を見つけて反面教師にする発想は、
『正々堂々』という武士道に反するから、オススメはしない。
アンフェアで小賢しい方法は、長い目で見ればメリットはない。
結局、長い目で見ると、あまり極端にツキにこだわる必要はないと語る。
ただし、人道に反することをすれば、容易にツキを失うとも断言している。

さすが、実力者の意見。

前に、北野武も語っていた。
「僕はお金が落ちてても拾わない。そんなことで運を使いたくないから」

おこがましいが、
私も同じ考えで、ギャンブル等に一切手を出したことはない。
安易に得たものは、安易に手放すことになるのは目に見えてるので、
やらないし、触れない。
これは人間関係でも、仕事でも、夢を叶えるでも、同じことがいえると思う。
簡単というのは、落とし穴がいくつもあるものだ。

やはり、この本の全体を読み通して感じるのは、
羽生さんは、人間として、真っ直ぐ筋が通っている。
そういった人は、やはりカリスマ性があり、時代を担うヒーローになる。
そして負けても何度も立ち上がり、勝ち続けることができる。

今の政治家を見て、どれだけ筋の通った人間がいるだろうか。
たくさんある会社の経営者を見て、どれだけそういった人間がいるだろうか。

決断力のなさや見通しの甘さは、
やはり人間性に通ずる。
その舵取りができない者をいつまでもリーダーに据えてる限り、
混迷の時代は続く。
決断力のない人は、辞める、退くという決断さえできない。
その状態こそが危機であり、怖いのである。

是非、人を先導するような方々に、この大局観を一読してほしい。
特に、リーダーの方。
目の前のことに囚われ過ぎないでほしい。
場当たり的な対応を慎んでほしい。

本当に人を魅了できる人は、その人を見ると思わず興奮してしまう。
なぜだか、笑顔になってしまう。
そしてその先の奇跡を信じてしまう。
そんな人が、この国のリーダーに現れることを切に願う。

将棋を知らなくても、ワクワクさせる。
それが人間力。

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